新設法人はいつからインボイス発行事業者となれるのか – obantou Column/コラム

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新設法人はいつからインボイス発行事業者となれるのか

文書作成日:2023/03/21

[相談]

 私は、今年(令和5年)10月1日に会社を設立する予定です。
 その会社の資本金は2,000万円とする予定のため、その法人は、最初の課税期間(事業年度)から消費税の課税事業者になることと思います。
 このことについて、令和5年10月1日から導入されるインボイス制度(消費税適格請求書等保存方式)の登録を、仮に令和5年11月1日に受けるとした場合、その会社がインボイス発行事業者(適格請求書発行事業者)となるのはいつからになるのでしょうか。

[回答]

 ご相談の場合、令和5年10月1日にインボイス発行事業者の登録を受けたものとみなされるため、同日からインボイス発行事業者となります。

[解説]

1.新設法人の消費税納税義務免除の特例

 消費税法上、事業者(※1)のうち、その課税期間(事業年度)の基準期間(※2)における課税売上高が1,000万円以下である事業者については、原則として、その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等(※3)につき、消費税を納める義務を免除すると定められています(消費税の免税事業者)。

 ただし、新しく設立される会社のように、その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である法人(「新設法人」といいます)については、その新設法人の基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間における課税資産の譲渡等については、原則として、消費税を納める義務は免除されないと定められています。

 したがって、今回のご相談の設立予定の会社については、その資本金が1,000万円を超える(2,000万円)予定であることから、最初の課税期間(設立初年度)における消費税の納税義務は免除されない(消費税の課税事業者となる)こととなります。

※1 事業者とは、個人事業者及び法人をいいます。

※2 基準期間とは、法人については、原則としてその事業年度の前々事業年度をいいます。

※3 課税資産の譲渡等とは、原則として、資産の譲渡等(事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供をいいます)のうち、消費税の非課税とされるもの以外のものをいいます。

2.インボイス発行事業者の登録の時期に関する特例

 令和5年10月1日から導入されるインボイス制度(消費税適格請求書等保存方式)において、事業者がインボイス(適格請求書)を発行・交付するためには、消費税の課税事業者であり、かつ、インボイス発行事業者(適格請求書発行事業者)の登録を受けることが必要です。

 この点について、インボイス発行事業者の登録を受けようとする事業者が、事業を開始した日の属する課税期間の初日から登録を受けようとする旨を記載した申請書(適格請求書発行事業者の登録申請書)を、その課税期間の末日までに提出した場合において、税務署長による登録がされたときは、その課税期間の初日から登録を受けたものとみなすと定められています。

 したがって、今回のご相談の場合、最初の課税期間(設立初年度)の末日までに申請書を提出し、登録を受けることで、その課税期間の初日(今回のご相談の場合は、令和5年10月1日)から登録を受けたものとみなされるため、令和5年10月1日からインボイス発行事業者となります。

[参考]
新消法2、9、12の2、57の2、新消令70の4、インボイス通達2-2、国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(令和4年11月改訂)」など

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