過去に事業を廃止した個人が再び事業を始めた場合の消費税の納税義務判定 – obantou Column/コラム

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過去に事業を廃止した個人が再び事業を始めた場合の消費税の納税義務判定

[相談]

 私は、個人で飲食店を営んでおりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により資金繰りが悪化したため、一昨年(令和3年)末に廃業しました(なお、令和3年分の消費税課税売上高は、2,000万円です)。
 しかしながら、事業を再開したいという思いが募り、今年(令和5年)中に再度飲食店を開業することを決断しました。
 そこでお聞きしたいのですが、私が今年、個人事業者として飲食店を再開した場合、令和5年分の消費税の納税義務はあるのでしょうか。教えてください。

[回答]

 ご相談の場合、令和5年分の消費税の納税義務はあるものと考えられます。

[解説]

1.消費税の納税義務の免除制度の概要

 消費税法上、事業者(個人事業者および法人)のうち、その課税期間(※1)に係る基準期間(※2)における消費税課税売上高が1,000万円以下である事業者については、原則として、その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等(※3)について、消費税を納める義務を免除すると定められています(消費税免税事業者)。

※1 課税期間とは、個人事業者の場合は、原則として、1月1日から12月31日までの期間とすると定められています。

※2 基準期間とは、個人事業者についてはその年の前々年をいうものと定められています。

※3 課税資産の譲渡等とは、事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供のうち、消費税が非課税とされるもの以外のものをいうと定められています。

2.前々年に事業を廃止した個人事業者が事業を再開した場合の納税義務判定

 上記1.で述べたとおり、個人事業者のその年の消費税の納税義務の判定は、前々年(基準期間)の消費税課税売上高が1,000万円以下であるかどうかによって行うと定められています(前々年中に事業を廃止していた場合であっても同様です)。

 したがって、今回のご相談の場合、個人事業者としての令和5年の基準期間(令和3年)の消費税課税売上高が2,000万円(1,000万円超)であることから、令和5年分の消費税の納税義務はある(納税義務は免除されない)こととなります。

[参考]
消法2、9、19、消基通1-4-6、1-4-8、1-4-9など

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